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ネット印刷4社の規模と特徴を徹底比較!~プリントパック・グラフィック・ラクスル・プリントネット~

2020年04月24日

ネット印刷は「価格・納期の明確化」「リーズナブルな料金」などがユーザーに支持され、年々シェアを伸ばしています。最近では、テレビCMも積極的に打つ企業もあり、ネット印刷の存在が広く周知されてきました。

ネットを調べれば、ネット印刷の使い方や価格比較は、いくつも出てきます。しかし使い方や価格だけではなく、印刷業界におけるネット印刷の市場規模や、各社の特徴にはどのような違いがあるのでしょうか?

弊社も印刷会社として、ネット印刷の動向には非常に興味があるところです。今回はネット印刷の主要4社を中心に、印刷業界におけるネット印刷の市場規模を比較してみようと思います。

 

現在の印刷市場

2019年8月09日に経済産業省が公表した「平成30年(2018年)工業統計 産業編」によると、2017年の出荷額は5兆2,378億円。2016年から2017年で0.7%減少していることを考えると、2019年度出荷額は5兆1000億円ぐらいと予想できます。

2007年の出荷額は7兆1,417億円で、10年間で1兆9,039億円も出荷額が減少しています。市場が縮小している原因としては、業務のIT化、マーケティングのweb化などが考えられます。

一方、ネット印刷市場はどうのような状況でしょうか?2013年に矢野経済研究所が発表した「印刷通販市場に関する調査結果2013」によると、2012年におけるネット印刷市場は約489億円です。

資料によると、今後の見通しとして2013年から2018年まで、年11.1%の割合で成長すると予測しています。この予測に基づくと、2018年は920億円になり、翌年も11.1%で成長したとすれば、2019年は1022億円となります。

今回は、よく見るネット印刷企業を4社ピックアップしてみました。公表されているデータを元に、各企業の特徴を見てみましょう。

 

株式会社プリントパック

設 立:1970年6月
資本金:9,800万円
代表者:代表取締役社長 木村進治
本 社:京都府向日市森本町野田3-1
従業員:1,034名(2018年10月現在)
売上高:328億円(2019年度)
売上高:308億円(2018年度)
前年度比:6.5%UP

2019年度売上高328億円と、業界1位のプリントパック。売上高、知名度において、ネット印刷市場ナンバーワン企業です。ネット印刷の分野に参入したのは2002年。以降生産設備を増やしながら、高崎工場、関東柏工場、九州工場、五条工場、伏見工場、吉祥院工場、関東木更津工場と7ヶ所もの生産拠点を有しています。

2010年度の売上高が76億円なので、9年で4.3倍もの成長を遂げています。プリントパックの強みは「価格」。例えば「A4チラシ 片面カラー コート90㎏ 1,000枚 4日納期」で他社と比較してみましょう。

2020年4月23日現在

プリントパック  2,755円
グラフィック  3,850円
ラクスル  3,118円
プリントネット  3,090円

定番仕様で比較してみましたが、プリントパックが最も割安です。もちろん企業によって強みが違いますので、どの商品でもプリントパックが安いわけではありません。しかし定番仕様では、プリントパックがスケールメリットを生かした強みを持っているようです。

もちろん、プリントパックにも弱点が無いわけではありません。スケールメリットを生かすために、用紙の種類はかなり絞っています。先ほどのA4チラシなら「コート紙」「上質紙」「マットコート紙」の3種類しか選べません。ちょっと変わった用紙で印刷したいと思った場合、プリントパックは適さないでしょう。

とはいえ、定番仕様を押さえているのは強く、業界ナンバーワンの座は揺るぎないといえます。

 

株式会社グラフィック

設 立:1989年11月
資本金:9,500万円
代表者:代表取締役 西野能央
本 社:京都市伏見区下鳥羽東芹川町33
従業員:940名(2019年)
売上高:259億円(2019年度)
売上高:240億円(2018年度)
前年度比:8%

2019年度売上高259億円と、業界2位のグラフィック。ネット印刷の分野に参入したのは2001年と、プリントパックよりも1年古く、ネット印刷では最古参の企業になります。実は印刷業界では、ネット印刷の中でグラフィックにはファンが多くいます。

人気の一つは「安定した品質」というイメージでしょう。価格においてはプリントパックより高いにもかかわらず、グラフィックに出すという印刷会社をよく聞きます。

また、用紙の種類が非常に豊富というのも、人気の一つと言えます。例えば「A4チラシ」でいえば、定番の「コート紙」「上質紙」「マットコート紙」に加えて、なんと50種類以上もの選択肢があります。これは、他社にはマネできない強みといえます。

グラフィックは「安定した品質」と「幅広い選択肢」が強みといえます。

 

ラクスル株式会社

設 立:2009年9月
資本金:21.2億円
代表者:代表取締役社長CEO 松本恭攝
本 社:東京都品川区上大崎2-24-9
従業員:262名(2019年)
売上高:171億円(2019年度)
売上高:111億円(2018年度)
前年度比 54%

2018年にラクスルは、東証マザーズに上場しています。ラクスルはもともと、『印刷比較.com』という印刷通販の価格比較サービスサイトサービスで創業。ネット印刷をスタートさせたのが、2013年と非常に新しい企業です。

創業も異色ですが、ビジネスモデルも他社と比べると異なっています。ラクスルは純粋なネット印刷会社ではなく「印刷のシェアリングプラットフォーム」を運営しています。ラクスルは顧客から注文を受けると、全国にある提携印刷会社の印刷機の空き時間を使って印刷しています。つまり、自前で設備を持たないファブレス企業なんです。

(ラクスル決算説明会資料より)

2018年から2019年にかけて売上高が54%も増加しており、急成長の企業と言えます。決算説明資料によると、顧客獲得の効率改善、サービス改善によるリピート率の上昇が成長要因とあります。

成長している反面、利益を再投資に回す方針のようで純利益はあまり出ていません。また、自前で印刷せず提携企業が印刷しているため、原価率が純粋な印刷会社よりも高い傾向にあります。また、顧客獲得のために広告宣伝費もそれなりにかけているようです。

 

ラクスルと同じく上場しているプリントネットと2018年の数値を比較してみます。

ラクスル プリントネット
売上 111億円 73億円
売上原価 84億円 52億円
販管費 26億円 13億円
営業利益 0.9億円 7.7億円
原価率 75% 71%
販管費率 23% 17%
営業利益率 0.8% 10%

比較するとわかりますが、自社で印刷しているプリントネットは原価率を抑えています。ラクスルの販管費は、プリントネットよりも6%ほど高く、ある程度広告宣伝費に力を入れていると思われます。

ラクスルは印刷だけではなく、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」や、テレビCM作成なども手掛けており、年々ビジネス領域を広げています。ただ、売上高における印刷の割合は90%近くあり、印刷が主力ビジネスです。

ラクスルは、自前で設備を持たないため身軽な経営ができるという強みを持ちます。一方、設備を持たないためにコストダウンは難しく、価格競争だけだと苦しいところです。

代表者の松本恭攝氏は「スティーブ・ジョブズの申し子」ともいわれているそうで、ネット通販業界でどのように生き残っていくのか、非常に興味があります。

 

プリントネット株式会社

設 立:1987年7月
資本金:8.1億円
代表者:代表取締役社長 小田原洋一
本 社:東京都千代田区丸の内3-3-1
従業員数:370名
売上高:81億円(2019年度)
売上高:73億円(2018年度)
前年度比:11%

2018年にジャスダックに上場したプリントネット。小田原洋一氏が2代目として代表取締役に就任し、2005年よりネット印刷を始めています。鹿児島のローカル印刷会社でしたが、小田原洋一によりネット印刷専業に舵をきりました。

上位2社とは売上高で大きな差はありますが、上場して得た資金で設備投資を行うなど勢いのある企業です。現在「プリントネット」「プリントプロ」の2サイトを運営しています。プリントプロは、カスタマーセンターのサポートを必要としない顧客向けのサイトで、自動化することにより、プリントネットよりも低価格を実現しています。

プリントネットの有価証券報告書を見ていると、興味深いものが記載されています。プリントネットの主要顧客の欄には「ラクスル」と記載されています。2019年のプリントネット売上高におけるラスクルの割合は、実に32.8%もあります。つまり売上高81億円の内、約26億円はラスクルから受注した仕事になります。プリントネット急成長の裏側には、ラスクルからの受注が大きく寄与しているのかもしれません。

価格、サービスにおいて上位2社に敵わないプリントネットですが、今後どのような差別化を図り、上位を追撃するのか興味深いところです。

 

まとめと今後のローカル印刷会社

上位4社以外にもネット印刷を手掛けている企業はあります。「帆風(バンフー)」「東京カラー印刷」「WAVE」「アドプリント」「良安」など目にした人もいるのではないでしょうか?

例えば「帆風」の売上高114億円と、プリントネットよりも上位に位置します。しかし、帆風はローカル印刷も展開している企業で、114億円のうちネット印刷に占める割合が不明なので、除外しました。それ以外の企業もローカル印刷と兼業、売上高が不明、意外と低いなどの理由で除外しました。

印刷業界全体の市場規模は約5兆円、ネット印刷の市場規模は1100億円と、割合としては2.2%に過ぎません。しかし、印刷業界全体の市場規模は減少傾向にあり、ネット印刷の市場規模は増加にあります。

プリントパック、グラフィック、ラクスル、プリントネット上位4社の売上高合計は839億円にのぼります。2019年のネット印刷市場規模予想は1022億円とすれば、4社が占める割合は約76%にもおよびます。

特にプリントパックとグラフィックが圧倒的で、上位2社で53%もの割合を占めています。印刷業界ではよく「大日本印刷」と「凸版印刷」の2強などと言われていますが、ネット通販業界においては「プリントパック」「グラフィック」の2社が圧倒的な強さを持っています。価格におけるプリントパック、サービスにおけるグラフィックを3位以下がどのように追撃するのか、とても気になるところです。

 

ご相談は神戸の明光堂まで!

ネット印刷の顧客は、ローカル印刷会社やデザイン事務所が多くを占めています。もちろん直接ネット印刷に出す企業や個人も増えていますが、専門的な知識が必要であり、ハードルはまだ高いようです。

「ネット印刷に出すのはちょっと不安・・・」「専門的なことは難しくて・・・」そんな方は、ぜひ明光堂にご相談ください。価格ではネット印刷には敵いませんが、一緒にご相談しながらご要望に合わせた印刷物を提供いたします!

神戸の明光堂ではこんな印刷ができます!【ネット印刷と地元印刷会社のメリットとデメリット】

電話:078-576-6288 E-mail:seisaku@meikodo.com

 

アクセス・営業時間・定休日

住所:〒652-0804 神戸市兵庫区塚本通5丁目2番3号
電車の場合
・JR神戸線「兵庫駅」より北へ徒歩約5分。
・神戸高速鉄道 大開駅より徒歩8分
・神戸市営地下鉄西神・山手線「上沢駅」より南へ徒歩約12分。

お車の場合
・阪神高速神戸線「柳原」インターより5分

営業時間:8:30〜17:30
定休日:土・日・祝
駐車場:あり(事前にご連絡ください)

 

株式会社明光堂の詳細

創業:昭和23年
会社設立:昭和30年1月
事業内容:文具事務用品、事務機器、OA・PC用品、オフィス家具、印刷全般、WEBデザイン・制作、オフィスセキュリティコンサルティング
加入団体:神戸文具事務用品協同組合、神戸商工会議所、(公則)新産業創造研究機構、一般社団法人 神戸経済同好会、兵庫県印刷工業組合
主な資格:内装工事仕上業、兵庫県知事(般-29) 第117546号、ペーパーレスアドバイザー1級・2級、プライバシーマーク取得(24000180)、エコアクション21(0003250)

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明光堂ブログ担当 投稿者:明光堂ブログ担当
2020年04月24日 02:07
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