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世界最古の印刷物が、実は日本にあるんです。

2019年05月27日

現代印刷の基礎となる「活版印刷」は1450年頃にドイツのヨハネス・グーテンベルクによって確立されました。

兵庫県印刷工業組合兵庫支部にあるグーテンベルク印刷機のレプリカ

 

ただ、紙自体は2世紀に中国の蔡倫により発明されており、木版による印刷が7世紀頃には行われていたと考えられています。

それほどまでに印刷は長い歴史をもちますが、確実に年代がわかる世界最古の印刷物が、日本に残されているのをご存知でしょうか?

 

◆世界最古の印刷物とは

世界最古の印刷物とは「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)」と呼ばれるもので、奈良時代の770年に印刷されたものです。

 

百万塔陀羅尼が印刷されるキッカケは、孝謙天皇の信任を巡る道鏡と藤原仲麻呂の対立でした。764年に藤原仲麻呂は兵を起こし軍事力で道鏡を排除しようと試みました。いわゆる「藤原仲麻呂の乱(恵美押勝の乱)」です。

 

琵琶湖周辺で激戦の末、藤原仲麻呂は戦死。乱は鎮圧されましたが、国は乱れ多くの将兵が失われました。これに心を痛めた称徳天皇(一度上皇になった孝謙天皇が再び皇位について称徳天皇となる)は、戦死した将兵の菩提を弔うと共に、国家安泰を願い「百万塔陀羅尼」作成を命じます。

 

百万塔陀羅尼は、延命や除災を願う「無垢浄光陀羅尼経(むくじょうこうだらにきょう)」という経文を木版で印刷したものです。764年に印刷を開始し、770年に完成。印刷された百万塔陀羅尼は実に100万巻にのぼり、157名の技術者が約6年の年月をかけたという国家プロジェクトでした。

 

印刷された百万塔陀羅尼は「百万塔」と呼ばれる小型の塔に納めて、10万基ずつを東大寺など10のお寺に納められました。しかしその多くは、戦火や火災などで焼失。現在では法隆寺に4万6千基弱ほど現存しています。

百万塔(Wikipediaより)
ReijiYamashina [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)]


現在、百万塔陀羅尼は法隆寺にある「大宝蔵院」で展示されている他、東京の印刷博物館でも展示されています。世界最古の印刷物がどのようなものなのか、一度見てみたいものですね。

 

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明光堂ブログ担当 投稿者:明光堂ブログ担当
2019年05月27日 11:35
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